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仙台白百合女子大学 様

第3回「学生の学びを止めないための体制整備」オンラインセミナー

学生の学びを止めるな! 遠隔授業実施の為の体制整備インタビュー

仙台白百合女子大学

矢口 洋生 先生

 

2020年10月16日(金)に実施した第3回「学生の学びを止めないための体制整備」オンラインセミナーにおいて、このコロナ禍においても学生の学びを止めないために実施した工夫や体制整備についてお話いただきました。
後半には京都大学の飯吉透先生によるインタビューも実施しております。
最下部に動画とPDFデータのダウンロードリンクもございますので
あわせてご覧ください。

 

セミナーの概要についてはこちら

遠隔授業実施の為の体制整備について

2020年4月に manaba を導入

仙台白百合女子大学は、仙台市の郊外に位置し、1学部4学科、学生約900名、教員約50名ほどの大学です。

本学では2019年度まで別のLMSを使用していましたが、あまり使われていなかったのが実情でした。ところが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、本学でも2020年前期の6月末まですべて遠隔授業で実施することを決定し、2020年4月に manaba を導入。2019年に導入していた respon (※)とZoomを組み合わせて、5月11日よりオンライン授業を実施することとしました。

本学は実務系の授業も多く、非常勤の教員の割合が他大学より多いという特徴があります。オンライン授業の実施にあたってはこの点が課題になり、授業開始前に非常勤教員を対象としたツール類の研修を2日間かけて実施しました。

※「respon」は、(株)レスポン が開発・提供しているサービスです

オンライン授業は原則リアルタイムで

オンライン授業は、基本的にZoomを使ったリアルタイムの授業で実施することとなりました。これは教員の間ではリアルタイム授業のほうが、教育効果が高いという暗黙の合意が背景にあります。実施にあたり、本格的な授業に入る前にテスト授業を行ったのですが、回線に関してもリアルタイムで問題ないということもあり、原則リアルタイムとなりました。

授業開始当初は、学生が入室できないとか、音声が聞こえないといったトラブルや、教員側も操作が不慣れなこともあって細かいトラブルがありましたが、1週間ほどでそれも落ち着き、その後は大きなシステムトラブルもなく、問題なくオンライン授業を実施できました。

また、PC環境が整わなかった一部の学生にはPC演習室の開放や、PCの貸出などを実施してサポートを行いました。

本学では実験実習の授業が多いこともあり、三密を解消し、十分な感染対策を行ったうえで、7月1日からは実験実習のある授業において、対面授業を再開しました。

後期は原則対面にしつつ、オンラインも準備

その後、8月には manaba 、 respon を使った入退講の仕組みを構築。9月にはFD研修において遠隔授業の事例報告会を実施しました。

9月25日から始まった後期授業は原則対面で実施しています。ただし、基礎疾患がある教員は事前の申請を行えば遠隔授業を行えるようにしており、実際後期もオンライン授業を行っている先生もいます。また、特別に配慮が必要な学生がいる授業では、教員が対応できれば対面授業をZoomで配信するハイブリッド授業も許可しています。

教員に対しても、学生に対しても発熱等があれば無理して学校に出ないように周知しており、これらの受け皿として、柔軟に対応できるよう準備はしてあります。

京都大学 飯吉透先生によるインタビュー

飯吉:これまでのインタビューを通して、オンデマンド中心にオンライン授業を実施する大学が多かったのですが、リアルタイム授業のメリット・デメリットはどのようなところにあるとお考えでしょうか。
矢口:リアルタイム授業は教員側に教えるためのスキルが求められますが、逆にオンデマンドでは動画の編集などの教材準備のスキルが求められるため、リアルタイム授業のほうが行いやすいだろうという教員間の判断があったようです。

非常勤も含めて講習会も行いましたが、基本的なサポートは各学科の研究室で行い、学科内で教員同士がサポートしあうという形となりました。これは教務に問い合わせが集中してしまうとさばききれないと予測したためです。 もちろん、学科内で対応しきれないときは情報システム室や教務で対応する体制を整えました。

結果的にこの施策が功を奏し、教員同士で教え合うという文化が生まれました。やはり得意不得意というのは出てきますが、みんなが得意な先生に聞きに行くという流れができつつ、情報共有も進んで、徐々に環境が整っていきました。

飯吉:共助の仕組みができていったわけですね。このようなコミュニティ感を、今後はどう生かして生きたいとお考えですか。
矢口:もともと教員は50名ほどと少なく、顔見知り感も強かったのですが、その反面、非常勤の先生も多く、学科の先生でもメールだけのつながりしかなかったという先生も少なからずいました。それが、今回、学科の先生がサポートし合うこととなり、やり取りを通して非常勤の先生とも距離が近くなっていったようです。実際、これまであったトラブルがこれを機に解消したという話もありました。今後はより良い関係性を作っていけると考えています。

飯吉:では、参加者の方からの質問を取り上げてみましょう。システムの大きな問題はなかったそうですが、なにか対策をされたのでしょうか。
矢口:授業の実施については、対面授業の関係から、座学と実験実習の授業日程の調整を行い、シラバスの修正も行いました。しかしながら、ハード(システム)的な対策は特に行ってはいません。

飯吉:manaba の使い方など、今回のオンライン授業で得られた知見を今後どのように生かしたいとお考えですか。
矢口:manaba については、多くの教員が、課題管理がとても楽になったという体験をしたので、使い続けていくと思います。また、 respon で出欠を取るのも楽なので、授業にどんどん組み入れていくと思われます。

Zoomに関しても使用を続けていきます。これはあまり考えたくありませんが、再感染拡大時や、先に述べた一部の遠隔授業が必要な教員・学生に柔軟に対応できるためのバックアップとしてです。

飯吉:manaba はどのように活用されていますか。
矢口:先ほどもお話しましたが、課題管理です。以前のLMSはほとんどの先生が使用されず、手作業で行っていましたが、今回 manaba を体験して、みなさん使い始めているようです。

飯吉:今後、再びオンライン授業を実施することになったらどのようにされていこうとお考えですか。
矢口:基本はリアルタイム、一部オンデマンドになるかと思います。だいたい7:3から8:2ぐらいでしょうか。オンデマンド授業に関しては、(外部で)実習がある学科もあることから、実習がある学生向けにオンデマンドをやってもよいのではないか、という声も出ています。

飯吉:最後になりますが、ポストコロナ、コロナが収束した後、教育スタイルは変わりますか。変えていきますか。
矢口:今回、 manaba をはじめ設備投資をしたので、先生方にはフル活用していってほしいと考えています。実際、自分でできる先生は新しいものをどんどん作り始めています。
このように、色々な授業の取り組みに対する選択肢が広がったのは良いことだと感じています。今後の新しい展開にとても期待しています。

お話いただいた方々

矢口 洋生 先生

仙台白百合女子大学
学長

1960年、西東京市出身。北星学園大学、米ルイス&クラーク大学、米ゴーシェン・ビブリカルセミナリー、米ノートルダム大学で学ぶ。
平和学修士。専門領域はキリスト教平和思想。
2017年より仙台白百合女子大学学長。

インタビュアー:飯吉 透先生

高等教育研究開発推進センター長・教授
京都大学大学院教育学研究科教授(兼任)

動画閲覧・PDFダウンロード

PDFデータは下記よりダウンロードいただけます。

※講演日:2020年10月16日(金)

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