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第4回 教育の質保証・質向上オンラインセミナー 京都大学 松下先生 ご講演

2021年3月19日(金)に実施された第4回「教育の質保証・質向上オンラインセミナー ~Afterコロナを見据えて今大学ができること~」パネルディスカッションで京都大学の松下 佳代先生にご講演いただいた内容をまとめております。

最下部に動画もご用意しておりますのであわせてご覧ください。

前回講演のフォローアップ

Q:学部における大半の既存科目で低い評価を受けていても、重要科目で高評価を得られれば、プログラムレベルでの評価は高いと言えるのでしょうか。

A:これまでいろいろな事例を見てきましたが、重要科目のみ高評価で、他科目の評価が低いというのは考えにくいです。なぜかといえば、重要科目はそれまで学んだ知識やスキルなどを必要とするからにほかなりません。
PEPAはメリハリをつけて学習成果(=学習者が、知り、理解し、行い、実演できるか)を見る方法です。卒業認定は、単位修得の程度とともに重要科目の達成度で行っています。つまり、重要科目では、試験だけでは見られないことについて、パフォーマンスをやってもらい、それを評価しようというやり方をとっています。

Q:コア(重要)科目の学習水準設定と、学生の学力の問題とで、どのように現実解を見つけるかを知りたいです。

A:重要科目の評価はルーブリックを使っています。その理由は知識、スキル、態度・価値観などが統合されたパフォーマンスの評価はルーブリックを使わないと難しいためです。その際、観点とレベル設定が重要になってきます。経験的には4~5レベルぐらいがやりやすいようです。このときのポイントは、一番上のレベルを到達目標にしないことです。最低限満たすべきレベル(例:5段階で2)、望ましいレベル(5段階で3)、理想的なレベル(5段階で4,5)のようにしておいたほうがよいと考えています。

Q:ポートフォリオ等、自身の学びの軌跡を振り返る場の設定と、その振り返り方を活かす方法などについての考えをお聞きかせください。
また、学修ポートフォリオを活用した全学的な学修支援のあり方を紹介してください。

A:国内でもいくつかポートフォリオをうまく活用されている大学があります。ここではその一つである関西国際大学の例をご紹介します。
関西国際大学では4年間の長期的ルーブリックにあたる「KUIS学修ベンチマーク」を作成し、半期に一度、「リフレクション・デイ」として学生が根拠資料をもとに、自分でできているもの、不足しているものを振り返って確認しています。さらに学生任せにならないように、アドバイザー(院生など)と対話してさらに振り返りを深め、それをもとに新たな学修目標を設定するという形をとっています。この「リフレクション・デイ」はアメリカの大学でも行われているところがあります。

Q:オンラインでのパフォーマンス評価の具体的事例を教えてください。

A:京大の私たちのセンターでは、オンライン授業について2020年度に42回ほど講習会を実施しました。その中で「オンライン試験をどう行うか」というテーマも取り上げています。
そのときの動画は公開していませんが、資料は私たちが公開しているサイトに公開していますのでぜひ参考にしていただければと思います(京都大学高等教育研究開発推進センター Teaching Online @京大)。
オンラインでの評価に関するページは以下にあります。

オンライン試験では不正を完全に防ぐのは難しいと思いますが、この機会に「学問的誠実性(Academic Integrity)」の重要性を伝えることは重要であろうと考えています。それについてもサイトの方で触れています。
パフォーマンスの評価は、特に実技や実演はオンラインでは難しいですが、いろいろ工夫した形で行われています。(これは京大ではありませんが)例えばPBLのグループワークの評価を、Miroなどのコラボーレーションツールを活用して行ったり、また、パフォーマンスの様子を学生に動画に撮ってアップしてもらい、それを評価する、といった例があります。

Q:学習成果の把握に努め、把握できたとしたら、今度はどのように機関、教育プログラム(学科など)での自律的な改善・向上にもつなげていくかについて、第1回の嶌田先生、第2回の松下先生のお話が「つながってくる」部分に大変関心があります。

A:学習成果を把握したら、うまくいっているところ、まだ不十分なところが必ず見えてきます。うまくいっているところをもっと広げたり、不十分なところを改善したくなるような評価結果になるものです。例えば私たちのセンターでは、2020年度のオンライン授業について、前後期とも教員調査を行ったのですが、回答率も高く、またそこからどう改善していけばいいかというアイデアも出てきています。そういう状況で評価・アセスメントを行うことが重要だと思っています。
他にも例を挙げると、新潟大学歯学部では、口腔生命福祉学科で有効だったPBLの評価方法を歯学科にも広げるということをやっておられますし、東京都市大学では17学科で、1年生の重要科目(統合的科目)の評価方法を共有し学びあうということをやっておられます。

Q:学習成果は社会に対する学生の質保証のみならず、学生にとって在学中に自らの学びの指針(前向きになれる後押し)になれば良いと思うのですが、良い取り組みをされている事例があれば教えてください。

A:私が紹介している評価の事例は、どれも「前向きになれる後押し」になるようなものだと思っています。つまり「学習のための評価」「学習としての評価」になるようなものです。実際、学生にアンケートをとった結果を見ても、学生から「深い学びができた」「フィードバックが得られた」「意味のある経験だった」といった良い評価を得られています。

Q:大学でオンライン授業が活発化する中で、MOOCのようなオンラインコンテンツが普及していくのではないかと思います。この流れの中で、既存の大学ではなく、企業が優秀な先生を雇いMOOCを提供し、修了証を出すということは日本でも増えていくのでしょうか。こうなると大学の学位が骨抜きにされてしまうのではないかと思います。質保証という観点からこうした問題についていかがお考えでしょうか。

A:オンラインコンテンツの活用については科目単位、プログラム単位での質保証が必要ではないかなと考えています。それとともに、単位修得に限定されない大学教育の価値を実現していくことも必要だと思います。例えば、サービスラーニング、海外研修、インターンシップなどの準正課活動の充実もその一つです。

講演者

松下 佳代先生
京都大学
高等教育研究開発推進センター教授

京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。
京都大学博士(教育学)。
専門は、教育方法学(特に、能力論、学習論、評価論)。
現在、大学教育学会副会長、日本カリキュラム学会代表理事、
日本学術会議会員などを務める。

動画閲覧

※講演日:2021年3月19日(金)

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