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獨協大学 様

第4回「学生の学びを止めないための体制整備」オンラインセミナー

学生の学びを止めるな! 遠隔授業実施の為の体制整備インタビュー

獨協大学

田中 善英 先生

 

2020年10月30日(金)に実施した第4回「学生の学びを止めないための体制整備」オンラインセミナーにおいて、このコロナ禍においても学生の学びを止めないために実施した工夫や体制整備についてお話いただきました。
後半には京都大学の飯吉透先生によるインタビューも実施しております。
最下部に動画とPDFデータのダウンロードリンクもございますので
あわせてご覧ください。

 

セミナーの概要についてはこちら

遠隔授業実施の為の体制整備について

全学で使えるLMSがなく、急遽 manaba を導入

本学は、文系大学として4学部11学科・約8,500名の学部生が在籍しています。教員は653名、うち専任が213名、非常勤が440名という構成です。

新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、本学でも4月16日に、2020年春学期(前期)授業は5月25日よりすべて遠隔授業で実施することを決定しました。

この時点では、一部の授業でLMSを導入していましたが、全学的に使えるLMSはありませんでした。そこで、遠隔授業は従来から全教員・全学生が使っていた学内ポータルを使って実施することを決定しました。

ところが検証を進めているうちに、ポータルに授業で使うファイルをアップしていくと、ディスク容量が足りなくなるということが判明し、急遽LMSとして、5営業日で導入できるというmanaba を導入することになり、遠隔授業を開始した2日後の5月27日から利用を開始しました。

LMS未経験者のため、解説動画や資料を作成

遠隔授業開始後の manaba 利用開始となってしまったため、当初は、他大学等で manaba の利用経験がある教員はmanaba を使うようにして、未経験の教員には引き続きポータルを使って頂くことにしました。

授業の運営方法については、各教員に委ねられており、Zoomの録画機能を使った先生、PowerPointに音声を付けてビデオを作成した先生、黒板を使って一人で行った授業を自分で録画したという先生もいらっしゃいました。

秋学期(後期)以降も遠隔授業を行うことになり、manaba の利用率を上げていくために、LMS未経験の教員に対して支援を強化することにしました。

 manaba 導入を推進した教育研究支援センターが中心となって manaba の機能を簡単に紹介したビデオや、遠隔授業に役立つ必要なツールなどをまとめた機能早見表を作成し、教員に展開していきました。

約半数の教員が manaba を活用。後期はさらに活用を進める

前期には manaba を 45%の教員が利用し、50%の授業が manaba を使って行われました。使い方の問い合わせについては教員からはトータルで112件あり、多かったのが小テストについて(59件)、レポート機能について(29件)でした。また、学生には具体的に manabaの使い方については説明していないのですが、問い合わせは12件にとどまりました。すでに後期が始まっていますが、教員からの問い合わせは激減し、ほぼ質問はない状態になっています。

後期授業の実施に関しては、体育などの一部の科目を除き、原則遠隔授業になっています。ただし、土曜日に学内で補講を行ってもよいことになっています。後期からは、教員からの要望もあり、遠隔授業でも出欠確認を効率的に行うために respon を導入しました。

京都大学 飯吉透先生によるインタビュー

飯吉:全教員に manaba を使ってもらうというのは難しかったのですか。
田中:元々、教員がどのようなツールを使って授業を行うかは、教員にゆだねられていたということもあり、トップダウンで全員 manaba を使うように、とはできませんでした。

飯吉:機能早見表は素晴らしい考えだとおもいます。今後、この機能早見表のアップデートを考えられていますか。
田中:今のバージョンは、教員としては所長である私と副所長の2名しかいない教育研究支援センターで作ったものであり、教員の現場視点から見て足りていないものが多くあると思いますので、今後、教員からのフィードバックを受けてアップデートは必要だと考えています。

飯吉:シラバスの書き換えについてお聞かせください。シラバスを書き換えるのは難しいと思いますが、どのように柔軟に変えていったのでしょうか。
矢口:シラバスの中身そのものは、本学では教務部の所管になります。全学的に遠隔授業を実施するという方針を出した時点で、学生によって受講環境に差があるという可能性を考慮して、どのようなツールでどのように授業を行うのか、ということをシラバスに盛り込むように、という指示が教務部から各教員に出され、書き換えられていきました。

飯吉:ではここからは参加者からの質問にお答えいただきましょう。早見表を作るのには手間暇がかかったと思いますが、どれぐらいかかりましたか。
田中:朝日ネットのマニュアルを参考に、スタッフと話し合いをしながら数日で作りました。

飯吉:manaba の各コースにサポートアカウントは登録されたのでしょうか。
田中:今の本学の運用では、教務システムから manaba にデータを流し込んでいる関係で、授業に参加している教員と学生以外のアカウントを登録することをせず、サポートアカウントは登録していません。サポートが必要な場合には、大学のヘルプデスクで対応しています。

飯吉:YouTubeの限定公開は、学生がリンクを外部に公開してしまえば拡散されてしまう可能性はあるかと思いますが、何か対策はされましたか。
田中:今のところ、公開されてしまったというインシデントが発生したという報告は受けていませんが、そのような事態に備え、教員には著作権や学生の個人情報の取り扱い等に配慮するようお願いをしています。

飯吉:レポート提出の方法等はどうされていますか。
田中:大学としては使用するアプリの統一をしていないこともあり、原則、教員に任せていますが、一部アプリ専用のファイル形式で提出してくる学生もいたりするので、そのような場合はPDFで提出するなどの指導をしてほしいと伝えています。

飯吉:今後、対面授業に戻っていくにあたり、遠隔授業で得た知見をどのように対面で活かされていくとお思いですか。教員の事務処理、経験以外にも、学生の学習意欲に対する観点からもお聞かせください。
田中:後期は先ほどもお話した通り、原則遠隔授業で行っていますが、2021年からは状況を見て対面授業を復活させていくことになると思います。まだ、具体的な方針は決まってはいませんが、今年度の知見を活かすという意味では、例えばいわゆる反転授業を行うとか、 manaba のさまざまな活かし方・使い方を教員からどこかの時点で集約・共有し、お互いに刺激し合いながら新しい授業方法を構築して行ければと考えています。

飯吉:授業に使われるツールの不統一は学生にとっては負担になるかと思いますが、改善はお考えですか。
田中:学生アンケートでは確かに「わかりにくい」という意見はたくさん寄せられました。一方で、 manaba 導入も短期間で行うといった緊急の状況の中で、LMS未経験の先生方に対し manaba を強制的に使わせることは現実的ではなかったという判断です。今後の課題として、学生目線に立った議論が必要だと考えています。

飯吉:遠隔授業においてTAはどのような役割で参加しましたか。
田中:今年は教員も学生も初めてのことばかりということもあり、正直TAを活用された先生は少なかったです。今後、遠隔授業下でどのようにTAを生かしていくかということは、話し合っていきたいポイントです。

飯吉:サポート体制についてお聞かせください。
田中:サポート窓口は専任職員4名と外部委託スタッフで構成しています。特に manaba に関しては常時3名程度で対応していました。窓口にいらっしゃる先生もいましたし、電話やメールで問い合わせてくる先生もいらっしゃいました。

お話いただいた方々

獨協大学
外国語学部フランス語学科教授
教育研究支援センター所長

専門は言語学。教育研究支援センター副所長を8年間務めた後、
2019年4月より現職。2020年度のmanabaの導入に大きく関わり、導入後には自ら機能紹介動画を
作成するなど、利用支援を積極的に行っている。

インタビュアー:飯吉 透先生

高等教育研究開発推進センター長・教授
京都大学大学院教育学研究科教授(兼任)

動画閲覧・PDFダウンロード

PDFデータは下記よりダウンロードいただけます。

※講演日:2020年10月30日(金)

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