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明海大学 様

第1回「私の遠隔授業」オンラインセミナー

遠隔授業が変わる! 遠隔授業で変える!LMS活用インタビュー

明海大学

佐々木 文彦先生

 

2020年7月22日(水)に実施した第1回「私の遠隔授業」オンラインセミナーにおいて、遠隔授業の方法についてお話いただきました。
後半には京都大学の飯吉透先生によるインタビューも実施しております。
最下部に動画とPDFデータのダウンロードリンクもございますので
あわせてご覧ください。

 

セミナーの概要についてはこちら

遠隔授業について

全学オンライン授業対応で、急遽 manaba を導入

明海大学は千葉県の浦安(5学部7学科・3研究科)と埼玉県の坂戸(歯学部・大学院)にキャンパスを持ち、今年50周年を迎えた大学です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言に伴い、本学でも2020年度前期はすべてオンラインで授業を開始することになりましたが、
既存のLMSは学内に設置したサーバーで稼働する非クラウド型で、全学約4,000名の学生が同時アクセスするとサーバーダウンの恐れがあると判断されたため、
急遽4月末に manaba 導入を決定し、5月中に稼動を開始しました。
その後一部対面授業を再開しましたが、現在すべての授業で manaba を利用し、オンライン授業を実施しています。

では、実際本学でどのように manaba を活用した授業を行っているかを、私の担当する授業を例にお話します。
現在、私は、全学初年次教育科目である「学修の基礎Ⅰ」、大学院博士課程前期1年の「日本語学特論」、大学院博士課程前期2年で修士論文の個別指導を行う
「特別演習Ⅱ」という、タイプの異なる3つの授業を担当しています。

「学修の基礎Ⅰ」は全学の1年生が対象で、1クラス37名で30クラスあり、そのうちの1クラスを担当しています。
本来は「大学を知り、自分を知り、4年間でどのような自分を創るかを描く」という大学そのもののオリエンテーション的な授業であり、
実際、キャンパス内の様々な施設を訪れたり、いろいろな教職員を訪問してインタビューしたりする予定でしたが、
今年度はそれをすべてオンライン授業で実施せざるを得ません。

30クラスの授業を統一的に運営するために、教育工学の講師である本学総合教育センターの山本樹先生が主任コーディネーターとして、
manaba のコンテンツ、アンケート、プロジェクトを一括して作り、それを各教員が manaba のコースにアップする形を取っています(インポート機能を利用)。

グループワークは manaba のプロジェクト機能を利用して行いました。グループ内のやり取りはプロジェクト機能内の掲示板を利用しています。
最初は面識もない同士で緊張していたようですが、次第に仲良くなり、慣れてくると「会えた時になにかおごるよ」などというやり取りも見受けられるようになりました。

manaba で学生同士の意見交換が活発に

「日本語学特論」は履修者6名ほどの科目です。自分の研究成果を、プロジェクト機能を使って発表し、他の学生が意見や質問を行います。
対面授業であれば発表に対して発言する学生が限られていたのですが、 manaba によって全員が発言や意見交換を行うようになり、学生同士のやり取りが活発になるという効果がありました。

論文指導の精度が manaba によって向上

「特別演習Ⅱ」は修士論文の指導を行いますので、チャットのような文字だけのやり取りでは限界があります。そこで、manaba上の掲示版でやり取りをしながら、
アポ取りを行い、Zoomで面談をする形を取っています。

また、 manaba のオプション機能である個別指導コレクション※を導入し、指導のやり取りをこの上で行うようにしました。
従来ですと学生が研究室にきて対面で指導していたわけですが、指導の内容をメモや日誌に記録しつつも、論文が進んでいくと過去の指導内容があいまいになることが多かったのですが、個別指導コレクション上に指導の履歴が残るようになったので、指導の精度が上がるという効果がありました。

京都大学 飯吉透先生によるインタビュー

飯吉:「学修の基礎Ⅰ」のグループワークでは、学生同士が慣れるまでにどれぐらいかかりましたか。また、慣れを促進するための工夫はされましたか。
佐々木:比較的短期間に慣れることができたと感じています。初回のグループワークはリアルタイムのチャットということで、なかなか書き込みが始まらなかったのですが、できるだけ早い時間に各グループを回って一声激励することで少しずつ学生も書き込むようになりました。
一度動き始めれば、あとは学生たちの自主性に任せることができます。
また、グループでは司会者役、まとめ役を決めていたのですが、たまにこの役割の人がリアルタイムの授業であることを忘れて遅れてくることがあり、
そのような場合には、グループ内に入って、別の学生に依頼する、といったことも行いました。

飯吉:1人で30名を見るのは大変ではありませんか
佐々木:そうですね。教室なら雰囲気でわかることも、オンラインだとグループを回る必要があります。グループワークにはあまり介入しないのが原則ですが、要所要所でサポートのための発言は必要です。
ただ、オンラインならではの良さもあります。主任コーディネーターの山本先生が各クラスの授業の時に、各クラスの授業をのぞきに来てサポートしてくれます。
対面では中々ありませんが、これはオンラインならでは、と言えるでしょう。

飯吉:オンラインのメリットに、教えや学びの可視化が格段に向上するということがありますが、そのことでの変化・影響はありましたか
佐々木:配布する資料の質が向上した、という効果がありました。対面授業では、口頭での説明、板書、配布資料が互いに補い合っていますが、
「読むだけで確実に伝わる資料」を意識することで、資料が論理的でわかりやすいものになりました。

飯吉:グループワークで全員の前でのフィードバックを嫌がる学生に対してどのようなフォローを行っていますか
佐々木:コメントが以前より減った学生に対しては、個別指導コレクションを活用し、個々に緩い感じのアプローチで声がけを行っています。
文字だけだとせっかくの声がけが「詰問」のようになりかねないので、やわらかい表現を心がけています。

飯吉:同時双方向の授業では学生が質問しにくいといいますが、その点で留意されていることはありますか
佐々木:オンラインでは特に質問しにくいかと思いますが、その原因の一つに、学生のリアクションが見えないため、喋りが長くなりがちになるからだと思います。
そこで、対面よりも短めに切って、問いかけをしてみたり、時には指名するなどして質問しやすい場を作るようにしています。

お話いただいた方々

佐々木 文彦先生

明海大学外国語学部日本語学科教授
総合教育センター長

秋田県秋田市生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院博士課程満期退学。
国語学専攻。主な専門分野は語彙論、言語変化。
『広辞苑 第七版』項目選定・執筆担当。日本語検定委員会審議委員長。

インタビュアー:飯吉 透先生

京都大学理事補(教育担当)
高等教育研究開発推進センター長・教授
京都大学大学院教育学研究科教授(兼任)

動画閲覧・PDFダウンロード

PDFデータは下記よりダウンロードいただけます。

※講演日:2020年7月22日(水)

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