大阪商業大学では、2014年度より manaba を試験導入していただき、2017年度より本格的にご利用を開始いただきました。
活用方法や効果について朝日ネット主催の2019年度 manaba 新規導入事例セミナーで山根先生にご講演いただきました。
ご講演内容を下記にまとめます。
大阪商業大学 様
2019年度 manaba 新規導入事例セミナーご講演
「小テスト」機能の活用と分析事例
運用
概要
毎回の授業後に「小テスト」機能を利用して学生に課題を出しています。
manaba の小テスト機能を活用したことで、成績評価で特定の回に偏りが生じず、学生の学習習慣の定着や間接的に学習意欲を把握することができました。
詳細
実施した授業について
授業名:マクロ経済学入門(前期)、ミクロ経済学入門(後期)
補足:1年次は全員が履修の必修科目。2年次以降は最履修クラスを設置
2017年度、2018年度は別の曜日時限の2クラスを担当
成績評価の70%は定期試験の得点、30%はドリルの提出回数
manaba を利用し始めた当初の目的
・小テスト機能を活用して、ドリルを毎回の授業後に提示して、復習する習慣を定着させるため(復習教材の提供)
・ドリルを毎回実施することで特定の授業回数に成績が偏らないように配慮するため
・コースコンテンツ機能を活用して、講義で用いたスライドを提示するため(欠席者対応・復習教材の提供)
・復習と欠席者対応などを重視するため
実施内容
出題形式:空所補充方式、回答は多肢選択式
出題数:1回の授業ごとに10題程度
提出期間:提出用の小テストは授業終了後2週間公開、練習用ドリルは定期試験前日まで公開
補足:提出用小テストと練習用ドリルを作成(内容は同一)
提出率を高めるため、下記のような工夫をしました。
・成績評価への加点-1回につき2点。2点×15回=30点を配点
・出題形式・解答方式の簡略化-10~20分程度で解答できるように問題を作成
・正答を公開-学生の不安を和らげるため、正答を解答直後に公開
実施後の分析
2017年、2018年度と上記のような内容を実施し、以下のような結果がでました。
また、下記が問題意識として出てきました。
・ドリルの提出率が相対的に高いクラスは定期試験の得点率も高い。
・ドリルの提出率は、理解度だけではなく、学習意欲と相関があるのではないか?
・ドリルの活用によって受講者の学習意欲を把握できるのではないか?
・ドリルによって理解度を少しでも高めることによって学習意欲を維持できるのはないか?
ドリルの提出率と出席率の推移は下記のような数字がでています。
上記から、ドリル提出率・出席率ともに、授業回数が進むにつれ低下していることから授業の内容が高度になるにつれて意欲が薄れていると推測できます。
また、理解度が相対的に低いクラスでは,12回から14回の出席率の低下と比較して提出率の低下が顕著になっています。
この結果について回帰分析を行ったところ、下記の結果がでました。
・ドリル提出率と得点率との間には弱いながら,正の相関が有意に存在する。
・出席率と得点率にも弱いながら,正の相関が有意に存在する。
・ただし、出席率とドリル提出率の間にも正の相関が存在するため、結果の解釈には要注意である。
・ドリルの実施が,ある程度,理解度の向上に貢献していることを示唆している。
・ドリル以外の復習を行っているのかをアンケートなどで補足する必要がある。
今後の展望
小テスト機能以外にも、ゼミナールで学生が manaba で提出したレポートをその場で添削したところ、好評でした。
講義で双方向を保つことに manaba を活用していきたいと思います。また、活用することにより学習意欲を刺激していきたいと思います。
※講演日:2019年6月25日(火)